心に残る微笑ましい場面
破れた竹の絵(ネタバレ)
ファン・ジニが練習で描いていた竹の絵が風で飛ばされ、それを偶然拾ったウノ(チャン・グンソク)。
見知らぬ青年の手から、自分の絵を取りかえそうとファン・ジニが紙を引っ張ると、竹の絵が真ん中で破れてしまいます。
ファン・ジニに恋をしているウノは、恋文を書くことを下人のトクパルに勧められ、
「折れた哀れな竹を抱いて帰った。適当な鉢が無く、心に植えたところ、心に根をはり、新たに葉をつけ始めた」
と書いてファン・ジニに手渡したころ、その真心に心打たれ、ジニは、ウノとデートをしてくれるようになります。
「手慰みに描いた私の竹が、あなたの心で育っているとは、思いもしませんでした」とジニも返詩を送るなど、若く初々しいデートを繰り返します。
ファン・ジニは、その後も、このような真心のある言葉を言える人が理想の人となり、悪女の妓生になった頃も、まずは、殿方が文を送り、それを見て、その人柄を判断するようになります。
涙が止まらなくなるストーリーの数々!
水揚げ前の友の自殺(ネタバレ)
教坊でジニと一緒に妓生になるための習練を積んだソムソムには、好きな男性がおり、いよいよ、水揚げという前の晩に、悩み続けたソムソムは、首つり自殺を謀ります。
これは、妓生になる女心を象徴する事件となりました。
水揚げの前夜、贅沢な暮らしができる妓生になるよりも、想い人からもらった髪飾りを身に付け、死ぬことを選ぶ。
昔、妓生になった女性たちの苦しみを描いていて、とても涙が止まらない場面でした。
ウノの死(ネタバレ)ーウノ実在人物!
ウノの父親に水揚げされることになったため、ファン・ジニの母親の願いで、ウノ(チャン・グンソク)とジニ(ハ・ジウォン)は駆け落ちをする約束をします。
しかし、それに気づいた教坊のペクム行首が、二人を行かせまいと、二人の交際を反対するウノの母親に知らせを送ります。
ウノは、母親に逆らえず、ジニのもとへ行くことが出来ず、二人は、突然の雨の中、ずっと立ちすくし、病気となってしまいます。
その後、ジニは、徐々に身体が回復していきますが、ウノは、精神的にもジニを裏切ってしまった心労も重なり、病が重篤な状態へ。
死ぬ前に、ジニに会いたいと、下人トクパルに頼み、教坊まで連れってもらいますが、怒っているジニからプレゼントしていた指輪を返され、冷たく突き放されました。
その後、最期を、ジニとよく過ごした玄月堂で、幸せだったころを回想しながら、ウノは死んでいきます。
「自分が、こんなにも弱い人間なら、最初で止めておけばよかった。でも、短い人生に後悔はない。ジニと過ごした時間が幸せだったから。」
と、静かに眼を閉じ、死んでいきました。
一人息子に死なれたウノの父親は、悲しむどころか、怒り狂い、質素な木の棺にウノの遺体を入れ、
「遺体を捨ててこい!」
と怒鳴ります。
その荷車が、ジニのいる教坊の前を通りかかると、ウノの棺を載せた荷車がいくら押しても動かなくなります。
その騒動の中、ウノが約束の場所に訪れなかった真相は、ペクムの仕業だったことを知ったジニは門の外に飛び出します。
見ると、雨の中、ウノの遺体の入った棺がありました。
雨に打たれる棺に、ジニは自分の着ていたチョゴリを脱いでかけてあげ、
「長旅に一人で出るのに、これで寒さをしのげるから。未練を捨てて、ここから出発してー。」
と、泣きながら語りかけると、荷車が納得したように動き出します。
この時、ウノ(チャン・グンソク)は映らず、ただ涙ながら棺に話しかけるだけのハ・ジウォンの独り演技ですが、観ていて涙が止まらないのは、ハ・ジウォンのさすがの名演技力としか言いようがない場面でした。
【実話のエピソード】
実は、この場面は、実在のモデルとなっている黄真伊(ファン・ジニ)の実話を盛り込んだエピソードなんです。
実話は、次のように残っているそうです。
ある日、1人の青年が黄真伊(ファン・ジニ)に恋をしてしまうが、身分の違いから叶わないことを悟り自殺する。
その青年の遺体を棺に入れて墓場まで台車で運ぶ際に、黄真伊の家の前で止まった。
それを聞いた黄真伊は自分の服を棺にかけると、動かなかった棺が動き始めたという。
この出来事が契機となって、黄真伊は妓生になったと言われている。
引用元:「Wikipedia」より
ただの演出ではないからこそ、心に染みる場面なのかもしれませんね!
ファン・ジニの復讐(ネタバレ)
ペクム行首のせいで、初恋が最悪な形で終わったジニは、二度と恋をせず、両班と行首に復讐を誓います。
ペクム行首は、その怒りが、芸の道一筋になるのであれば、喜ばしいことだと受け取ります。
そして、そのミョンウォル(ファン・ジニの芸名)の美しさと才能で、都からも両班が駆けつけるほどの人気の高い妓生になりますが、復讐心から、性格も悪いと評判高い素行を繰り返します。
ウノの死後、ハ・ジウォンの妖艶で、睨みつける目線が、それまでとは全く異なる雰囲気を出し、女優としての演技力の高さが伺える場面が多くなります。
ペクムの自殺(ネタバレ)
ジニを芸人として残すため、自らの命を絶ってピョクゲスの側室になるのを阻止して死んでしまうペクム行首。
ジニは、葬式後、ペクム行首の亡くなった川辺で魂を送るための舞を踊ります。
自分を、妓生の道に引き入れてくれて、熱湯を顔にかけられそうになった時も自らの身体で守ってくれた感謝と、初恋を引き裂いた恨みとが交差しながら、無表情で踊るジニ。
それを見て、ペクム行首を死に追いやった張本人として、ジニを責め立てた仲間の妓生も、ジニの舞に思いを察し、ともに弔います。
美しい伝統芸能の舞
ファン・ジニを魅了した宮廷舞(最終回ネタバレ)
まだ子供時代のファン・ジニは、顔を知らないお母さんを探して町に出て、偶然、ペクム行首たちの踊る宮廷舞を見掛けます。
その舞の美しさに魅了され、妓生になりたいと切望します。
テレビや映画、舞台などのエンタメの無かった時代、華やかな衣装を身にまとって踊る宮廷舞は、一般庶民からすると、さぞカルチャーショックが大きいことでしょう。
このような華やかさに心が引き込まれて妓生になったはずのファン・ジニですが、
最終回は、庶民がミョンウォルの踊りに目を奪われるのは、その踊りの技術力・表現力に見とれているのではなく、身に付けている装飾品と、派手でセクシーな服装にあり、
ミョンウォルを「天下一の娼妓」と厳しく非難する儒学者の師匠ソ・ギョンドクの教示により、
ラストシーンは、質素な庶民の服で、庶民と一緒に踊る人生を選びます。
死を覚悟した舞(ネタバレ)
ミョンウォル(ファン・ジニの妓名)は、両班と駆け落ちして結婚するなど、法を犯したとしてお尋ね者になっていました。(※身分の違いあると、結婚を禁じられている。)
同じく駆け落ちした両班のキム・ジョンハンも同罪で捕らえられていました。
キム・ジョンハンには、礼曹判書の職にあり、王に期待された職務を担っていましたが、姿を消したことで、王命に背いた罪もありました。
「ミョンウォルに誘惑され、惑わされて駆け落ちした」との証言をし、ミョンウォルの居場所を話せば、罪を軽くしてもらえると、拷問を受けますが、
キム・ジョンハンは、例え、自分が八つ裂きの刑に処されても、居場所は教えられないと、最後までミョンウォルを守りきりました。
そのため、さらに王の怒りを買い、八つ裂きの刑に処されることになります。
ミョンウォルは、自分のためにこれ以上誰かを犠牲にして生きたくないと、自ら、王宮に姿を現す決心をし、都の教坊の女楽メヒャンに協力を頼みます。
「妓生(芸人)として、舞台で死なせて下さい。」と。
キム・ジョンハンの処刑当日、怒りを抑えきれない王は、王宮で宴会を開くことにします。
多くの高官を招き、みんなで酒と舞とで楽しく盛り上がることで、キム・ジョンハンの死を悲しむことは無い!ということを表明するものでした。
ミョンウォルは、舞台セットの大きな花の中に隠れ、王宮に向かいますが、その道中、処刑場に運ばれるキム・ジョンハンを乗せた刑車とすれ違うこところから、徐々に悲しみを誘います。
いよいよ、王宮でミョンウォルの入った花びらが一枚ずつ開いていくと、そこにいた高官たちは、ざわめきました。
王族のピョクゲスが3年間も探し続けて見つからなかったミョンウォルが、今、自ら目の前に現れ、王の御前で舞い始めたのです。
ミョンウォルが死地となる宮廷で舞を踊り終えると、最後に、愛する人を想う詩を捧げました。
それは、
「寒い冬の長い夜を切り取って、春の夜につなぎたい。愛しいあなたが来た時のために。」
というような内容の詩でした。
一旦は、怒りを露わにし、その場から立ち去った王でしたが、キム・ジョンハンの処刑を中止し、二人の愛を許し、遠地で隠れ、暮らすように取り計らってくれました。
でも、ミョンウォルは、それを辞退し、教坊に戻してほしいと頼みます。
ピョクゲスに、心傷ついてボロボロになったキム・ジョンハンを差し出すことで、ピョクゲスの復讐心を和らげ、処刑を命じられたキム・ジョンハンの命を救うことが目的だったからです。
そして、せっかく王がくれた機会を捨て、自分も捨てられたことで、キム・ジョンハンは、情けないほどの醜態を見せることになり、ピョクゲスから同情されるまでになります。
この死地となる王宮でのミョンウォルの舞は、観るたびに涙が溢れてくる名場面の1つです!