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タクシー運転手 約束は海を越えて(実話の光州事件)を 視聴した感想・動画配信・映画情報

3.0
ーPRー

戦争・民主化闘争・南北分断関連
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韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」の概要

韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」の監督・脚本・観客動員数など

【監督】 チャン・フン/代表作映画「義兄弟~SECRET REUNION」、映画「高地戦」
【脚本】 オム・ユナ(ウム・ユナ)/代表作 映画「マルモイ ことばあつめ
【制作】2017年公開
【観客動員数】1200万人以上、※観客動員数ランキングを見る!
【公式サイト】http://klockworx-asia.com/taxi-driver/

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韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」主なキャストと代表作

俳優・女優(役名) 過去の出演ドラマ・映画
★ソン・ガンホ
(キム・マンソプ役)
※実在のタクシー運転手(キム・サボク氏)
・映画「弁護人
・映画「王の運命 -歴史を変えた八日間-
・映画「密偵」
・映画「パラサイト 半地下の家族
・映画「観相師
★トーマス・クレッチマン
(ピーター役)
※実在のユルゲン・ヒンツペーターをモデルにしたドイツ人記者
・映画「戦場のピアニスト」
・映画「ヒトラー ~最期の12日間~」
・映画「Uボート 最後の決断」
・映画「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」
★ユ・ヘジン
(ファン・テスル役)
・映画「LUCK-KEY/ラッキー」
・映画「国選弁護人 ユン・ジンウォン」
・映画「コンフィデンシャル/共助
・バラエティ番組「三食ごはん
・バラエティ番組「スペイン下宿
・映画「王の男」
・映画「マルモイ ことばあつめ
・映画「1987、ある闘いの真実
★リュ・ジュンヨル
(ク・ジェシク役)
・映画「ザ・キング」
・映画「奴隷の島、消えた人々」
・映画「グローリーデイ」
・「恋のスケッチ~応答せよ1988~」

韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」公式のあらすじ

ソウルのタクシー運転手マンソプは「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という言葉につられ、ドイツ人記者ピーターを乗せて英語も分からぬまま一路、光州を目指す。

何としてもタクシー代を受け取りたいマンソプは機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に入る。

“危険だからソウルに戻ろう”というマンソプの言葉に耳を貸さず、ピーターは大学生のジェシクとファン運転手の助けを借り、撮影を始める。

しかし状況は徐々に悪化。マンソプは1人で留守番させている11歳の娘が気になり、ますます焦るのだが…。

※ストーリー引用元:「公式サイト」より

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韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」視聴した感想・見どころ

映画の見どころ

この映画を見て、初めて「光州事件」を知りました。

当時、この「光州事件」が起きている最中も、韓国では、他の地域に住んでいる国民に知られないように、密かに暴動を終息させようと、国は、軍隊を送り込んで事態を鎮圧しようとしていました。

しかし、密かに鎮圧するには想像できないほどの大規模な暴動で、そこには、多くの市民の悲惨な犠牲がありました。

この実情を、世間に知ってもらうため、

ドイツ人記者ピーター(モデルとなった人物:ユルゲン・ヒンツペーター)に光州の実情を撮影してもらい、海外メディアを通して、真実を世間に知らせようと命がけでがんばった実話を基にした映画になっています。

※サイト内記事「光州事件の記録に基づいた映画・光州5.18」で事件の詳細が分かります。

「タクシー運転手 約束は海を越えて」あらすじ《ネタバレあり》

タクシー運転手のキム・マンソプは、当初、光州で起きている暴動を知らないままドイツ人記者ピーターを乗せ、光州に向かいました。

ところが、光州に入る道がすべて封鎖され、検問で嘘をついて何とか光州に入ることができますが、

そこには、同じ国内と思えぬような異様な雰囲気があり、ドイツ人記者は、早速、撮影をして回りました。

マンソプのタクシーは古く、修理が必要になったため、戒厳法(夜間外出禁止令)により、その日のうちに、自宅に帰ることが出来なくなってしまい、イラ立ちから、ドイツ人記者ピーターを怒鳴りつけます。

自宅には、11歳の子どもが一人で待っていたため、心配な気持ちがいっぱいだったのです。

しかも、電話回線は、町中切られており、子どもに電話すらかけられない状態。

仕方なく、二人はタクシー仲間の家に泊まらせてもらうことになりました。

その後、光州で起きていた恐ろしい現実を目の当たりにすることになります。

銃声が鳴り響き、ドイツ人記者ピーターは、通訳を兼ねた学生ジェシクと一緒に撮影に向かいます。

その時、目にした光景は、銃で撃たれた仲間を助けようと近づいた人は、皆射殺され、病院には、あふれるほどの重傷者と死体でいっぱいになっていました。

ドイツ人記者ピーターは、カメラを持って取材に来ていることもバレており、殺されそうな勢いで追いかけられます。

ドイツ人記者ピーターとタクシー運転手のマンソプを逃がそうとしてくれた学生ジェシクは殺され、ピーターは、ショックで放心状態になり、撮影して回る気力を失って座り込んでしまい、

マンソプは、

「この悲惨な状況をカメラで撮るのが、あなたの仕事だろ!」

「私は、あなたを空港に送るのが仕事だ!必ず、空港に連れてってあげるから、現状をしっかり、撮ってくれ!」

と、頼みます。

朝方、光州のタクシードライバーファン・テスル(ユ・ヘジン)の協力で、タクシーナンバープレートも取り換え、空港に向けて出発します。

検問では、車内を調査されましたが、調査した担当の軍人は二人を見逃そうとしました。しかし、

「外国人を通すな!」

との命令の無線が入り、慌ててカーチェイスをしながら、二人を乗せたタクシーは逃げ出します。

ポンコツ中古車のタクシーと、軍の頑丈な車、数台では、簡単に追い越され、挟まれて止められそうになりました。

その時、光州のタクシーが複数台割込みしてきて、マンソプらを逃がしてくれました。

マンソプは、後方で、タクシーが、事故るような激しい衝突音を聞きながら、必死で、車を走らせました。

そうして、仲間の命と引き換えに、ドイツ人記者ピーターを無事に空港へ送り届けることができました。

ピーターは、無事に海外メディアで放送出来た後、タクシーの修理代を払うからと連絡先を聞きました。

マンソプは、嘘の電話番号を書きました。

命を落としてまで協力してくれた仲間に対し、自分だけ、報酬や修理代をもらうのは気が引けたのでしょう。

後日、ドイツ人記者ピーターは、韓国で「光州事件」を世に知らしめてくれた記者として表彰され、ピーターは、「タクシー運転手の人に会いたい!」とメディアを通して呼びかけますが、名乗りでることはありませんでした。

実在した「タクシー運転手」と「ドイツ人記者」

ドイツ人記者ピーター役のモデルとなったユルゲン・ヒンツペーターとは?

ドイツ人記者ピーターの役は、実在のドイツ公共放送連盟(ARD)の東京特派員だったユルゲン・ヒンツペーターがモデルになっています。

映画では、1度きりの生死をかけた光州での取材活動として描かれていますが、実際には、ヒンツペーターは、計3回光州入りしているそうです。

一度目のフィルム(5月20日~22日)は、東京へ送り、その後、再度光州入り。

5月27日に光州市が軍に落ちると、翌5月28日にも光州入り。

その記録写真が、「ハフポスト日本版」で、実際の写真を見ることができます。

ユルゲン・ヒンツペーターは、2003年青巌(チョンアム)言論文化財団とハンギョレ新聞社が授与する第2回ソン・ゴンホ言論賞を受賞しています。

その時のコメントに、

「勇敢なタクシー運転手キム・サボク氏(マンソプのモデルとなった人物)に感謝する。彼に会いたい。」

と言っていましたが、その後も、再会することなく、2016年息をひきとったということです。

実は、キム・サボクは、「光州事件」の4年後(1984年)、ガンを患って亡くなってしまっていたという事実が、この映画を公開したことで分かりました。

キム・サボクの息子キム・スンピル氏のインタビューによると、もともと肝臓が悪かったうえに、

「光州事件」以降、

「同じ民族同志が、どうしてこうも残忍になれるのか」と言いながら、お酒を飲む量が増え、肝硬変、肝臓がんとなり、死に至ったそうです。

「今考えてみれば、父は、そうした状況に耐えられなかったのではないかと思います。」と息子キム・スンピル氏が語っています。

タクシー運転手金砂福氏(キム・サボク、マンソプのモデルとなった人物)とは?

金砂福氏(キム・サボク)の職業は、映画と同じ「タクシー運転手」ですが、

そのプロフィールは、映画とは、大きな違いがあるようです。

【映画との違いーその①家庭環境と職業について】

映画では、11歳の娘一人との父子家庭という家庭環境として描かれましたが、妻がおり、子どもは、息子だったようです。

タクシーも個人タクシーではなく、ソウルパレスホテルの専属タクシー業者でした。

1932年に生まれ、日本統治時代の朝鮮において日本語を学び、また英語も独学で修得していたおかげで、

高級ホテルであるソウルパレスホテルの専属タクシー運転手として働くことができました。

流ちょうな言語力から、外国人客との接客が多く、特に日本とドイツのジャーナリストを乗せることが多かったと言います。

その中で、キム・サボクとユルゲン・ヒンツペーターは、出会ったのではないかと思われています。

【映画との違いーその②ユルゲン・ヒンツペーターとの関係】

金砂福氏(キム・サボク)と、ドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターは、映画のように光州に行く時に、初めて出会ったのではなく、

それ以前より、一緒に民主化運動に参加していたという繋がりがあり、現地の暴動の様子を知らずに光州まで金砂福氏(キム・サボク)のタクシーを利用したのではない!と、

金砂福氏の息子のキム・スンピル氏が、後のドキュメンタリー番組で証言しました。

それを裏付ける証拠写真として、

1975年に、ドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーター、金砂福氏(キム・サボク)、咸 錫憲氏(ハン ソクホン、大韓民国のキリスト教思想家、独立運動家)、桂勳梯氏(ケ・フンジェ、在野運動家)など、当時の民主化運動の“大家”らと一緒に写った写真を複数公開しました。

(※国民が株主となる新聞「ハンギョレ日本版」で実際の写真を見る⇒)

これは、1980年以前からの顔見知りであったことを裏付け、キム・サボクが、何も知らずに、光州へ行ったのではないことの証明になります。

また、息子のキム・スンピル氏は、父親の愛読書として、張 俊河氏(チャン・ジュナ、大韓民国の政治家、官僚、ジャーナリスト、独立運動家、社会運動家)が発行した雑誌『思想界』をよく読んでいたと言います。

つまり、キム・サボクは、運動家の仲間として、目的地を承知の上で、運転手を引き受けたことになります。

【映画との違いーその③市民の暴徒化の場面が省かれたこと】

この映画では、警察や軍隊だけが残虐行為をしたかのように描かれていますが、実際には、国家権力に立ち向かうため、

市民はバスやタクシーを倒してバリケードを築き、角材や鉄パイプ、火炎瓶などで応戦しました。

21日に、群集に対する空挺部隊の一斉射撃が始まると、郷土予備軍の武器庫を奪取して武装し、これに対抗したとあります。

このような勢いに慌てた戒厳軍は一時市外に後退して、光州市を封鎖(道路・通信を遮断)、包囲したようです。

その後、地元の有力者などで構成された市民収拾対策委員会は戒厳軍側と交渉するも妥結に至らず、市民たちは武器を手に入れると韓国軍を相手に銃撃戦を行い、全羅南道道庁の占領もしました

市民の反撃が大き過ぎたため、暴動を鎮圧する手段として、ますます残虐になっていったのでしょう。

光州事件とは?

1980年5月18日から27日にかけて大韓民国(韓国)の全羅南道の道庁所在地であった光州市(現:光州広域市)を中心として起きた民衆の蜂起。

5月17日の全斗煥らのクーデターと金大中らの逮捕を契機に、5月18日にクーデターに抗議する学生デモが起きたが、戒厳軍の暴行が激しかったことに怒った市民も参加した。

デモ参加者は約20万人にまで増え、木浦をはじめ全羅南道一帯に拡がり、市民軍は武器庫を襲うと銃撃戦の末に全羅南道道庁を占領したが、5月27日に大韓民国政府によって鎮圧された。

ー引用元「Wikipedia」よりー

光州市に投入された総兵力数は2万5千人。

「光州事件」の正確な死者数は分かっていません。遺体はひそかに土に埋められたり、海に捨てられたりしたと報じられています。

事件の犠牲者は公式発表では官民あわせて死者191人、重軽傷者852人とされていますが、死者だけで2000人を超えたとの説もあります。

光州では、2019年、刑務所跡地から約40人分の遺体が見つかったケースもあり、

DNAの鑑識結果より、一部、当時の不明者であることも発表されました。

まだ行方不明者の数が多数あるため、これ以外で、見つかっていない遺体もあるのかもしれません。

キム・サボクの意外な経歴が、様々な憶測を呼んだ!

「キム・サボク」ってどんな人?

映画では、「正体を明かさず去った人」、ユルゲン・ヒンツペーターが「会いたい」とコメントしても名乗り出なかった人、

として、韓国では、その英雄的なキム・サボクに、関心が集まりました。

すると、前述したように、それ以前から、民主化運動に参加していただけではなく、

「文世光事件」の暗殺者を、事件現場となった「光復節の祝賀行事が挙行される国立劇場」へ乗車したタクシーが、金砂福(キム・サボク)所有のものであった、ということが分かり、

一転、憶測で悪いイメージで報道されるようになりました。

しかし、調べでは、その時、運転手は異なる従業員であった!ことも分かったようです。

※「文世光事件」とは?・・・1974年8月15日に、大韓民国(韓国)大統領朴正煕ファーストレディ陸英修夫人が在日韓国人の文世光射殺された事件のこと。
後に、北朝鮮の手先として事件を起こしたことを告白。また、事件後にファーストレディーを代行していた朴槿恵(当時・ハンナラ党副総裁、後に韓国大統領)が北朝鮮を訪問した際、金正日総書記が北朝鮮の関与を認めて謝罪した。

この「光州事件」・「文世光事件」という2つの大きな事件に関わっているということで、

以前より「北朝鮮工作員」が、「光州事件」に関与したのではないかと推測されていた点に、キム・サボクを結び付けるような発言までされるようになったのです。

そのため、息子が父親の名誉挽回として、インタビューに応えたような経緯があったようです。

「光州事件」の発端となったデモが、純粋な市民運動でなく、北朝鮮やそのシンパが起こしたものであると主張する意見が韓国の保守右翼系からしばしば提起されており、

元韓国陸軍大佐の池萬元は自著で、光州事件は金大中が起こした内乱事件であるとした1980年の判決に同意した上で、事件について金大中が起こしたもので、北朝鮮特殊部隊の工作だったと主張しました。

「タクシー運転手 約束は海を越えて」を視聴した感想

パッケージの笑顔のタクシー運転手の表情に、楽しい映画と思いきや、実に凄惨な内容の暴動を描いたストーリーでした。

調べてみると、細かい設定は、事実と異なる点も多数あるようなので、登場人物をそのまま実話として視聴し無い方がいいかもしれませんが、

凄惨な内容の暴動が起きたことは、事実に近い表現がされています。

空港に向かう際、激しいカーチェイスをしますが、実際、タクシーが200台、クラクションを鳴らしながらデモに参加するなど、

光州のタクシー運転手がデモに参加した点も、実話のようです。

タクシー運転手役のソン・ガンホの人情味あふれる演技は、視聴する側を映画の中に引き込み、

一緒にハラハラさせる場面も数多くあります。

約40年前の韓国の歴史の一部を、ご覧になりたい方には、おすすめの映画です。

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